PFAS汚染が大きな環境問題となっているので、飲み水の安全確認のため、環境省が各都道府県に呼びかけて汚染の実態調査が行われるようになりました。結果は環境省が取りまとめ、公表しています。
最新の調査結果は2022年度のもので、今年3月末に公表されました。
38都道府県1258調査地点のうち、国の暫定目標値(PFOSとPFOA合わせて50ng/L)を超過したのは、16都府県、111地点でした。
アメリカの基準では大半が危険
50ng/L未満を含めると大半の調査地点から一定濃度のPFASが検出されています。
アメリカ環境保護庁(EPA)は今年4月、法的強制力を伴う安全基準値を新たに設定。 PFOSとPFOAは各4ng/L(n=ナノは10億分の1)としました。また、強制力のない目標値は0ng/Lとしました。つまり、PFASはたとえ1ngでも危険と判断したのです。
アメリカの基準に照らせば、1258地点の大半は危険レベルということになります。
さらに、1258地点の選び方は恣意的で、高濃度の汚染が推測されるにもかかわらず、調査されていない地点も多くあります。
例えば1300 ng/Lを検出した静岡市清水区や、1万ng/Lを検出した岡山県吉備中央町は今回の公表結果には含まれていません。
PFASは自然界には存在しないので、汚染の原因は人間です。
PFOSは在日米軍基地や航空自衛隊基地が汚染源の可能性が高く、PFOAは半導体関連の工場が汚染源と考えられます。
しかし、汚染源を本気で突き止めようとすると外交問題になったり企業から圧力がかかったりしかねないので、行政はこの問題に真剣に取り組もうとしません。結果、「汚染源は不明」とお茶を濁すことになります。
国や自治体は当てにできないので、自衛するしかありません。
PFAS汚染水から身を守るとりあえずの手段として専門家がすすめるのが、家庭用浄水器の設置です。
一般的な浄水器でPFASのかなりの部分は取り除けるといいます。カートリッジはこまめに交換するよう心掛けてください。(猪瀬)